夢の中で母が火を焚き大餅を焼く懐かしい味覚の記憶
夜の深さに身を任せ、夢の中に迷い込んだ私は、久しぶりに母の姿を拝見した。母は昔ながらの家事を手がけていた。特に印象に残っているのは、火を焚き、大餅を焼くその姿だった。
部屋の隅には大きな薪ストーブが立ち、そこからはほんのりと香りが漂ってくる。母は薪を一つ一つ手入れし、無事に火が燃え上がるのを待っていた。火が穏やかに燃え始めたら、母はまず石臼で小麦粉を挽いていく。挽いた粉を広い台に広げ、手をこねながら柔らかくしていく。
次に、母は大きな鍋に水を入れ、そこに粉を少しずつ加えていく。水と粉が混ざり合うと、まるで魔法のように粘りのあるものが生まれてくる。母はその粘りを手でつかみ、まるで絵を描くように形を作り上げていく。
火を焚き続ける母の背中には、温かさが満ち溢れていた。その温かさは私の心に染み入って、夢の中でも安心感を与えてくれた。そして、ようやく大餅が完成した。母は大きな台に乗せ、火の向こう側から見つめるようにして焼いている。
大餅が焼き上がると、母はその香りに気づき、すぐさま火を消してくれた。その瞬間、部屋は静かで、ただ香りが漂ってくるだけだった。母は大餅を一つ一つ切り分け、私に手渡してくれた。
私が大餅を口にすると、その味わいがただ今の私に浮かび上がってきた。まるで母の愛情が詰まったような甘さと、ほどよい塩気。それが私の心を満たし、夢の中でも笑顔で過ごすことができた。
夢が醒めた瞬間、母の姿は消え去ったが、その味わいや温かさはまだまだ残っていた。私は目を覚ますと、部屋の隅に薪ストーブが立っていることに気づいた。その薪ストーブの火が燃え上がる様子を見つめながら、懐かしい母の姿を思い出した。
夢の中で母が火を焚き、大餅を焼くことは、私にとって特別な意味を持つ。それは、母との絆や、幼い頃の思い出を大切にすることの象徴だ。この夢が私に与えたものは、いつまでも心の中に残り、私の人生を豊かにしてくれることでしょう。