漆黒の夢に囚われた紅木の床

夜が深まり、部屋は静かでほのかな光が漂う。私の目が覚めた瞬間、目の前に広がるのは、美しいデザインの紅木床だった。しかし、その美しさは一時的なもので、夢の中の恐怖がすぐに襲ってきた。

「なぜ、こんな場所にいるんだ」と自問自答するうちに、紅木床の表面に細かい裂け目が現れた。それから次第に、その裂け目は広がり始め、まるで怪物の目のような形を成してしまった。

「いや、もう…逃げたい…」と心の中で叫んだが、足は動かせなかった。恐怖に震える私は、床の裂け目に向かって動き出す。深い森の中を彷徨い、紅木床はその先に見えた。

しかし、その先には何もなかった。ただしろ暗闇の中、紅木床が突然動き出す。その動きは滑らかで、まるで生きているかのようだった。

「やめて、もう一歩も進まない方がいい」と背中で声が響いた。しかし、恐怖の波に押されながらも、私は紅木床の先に進んでいった。

そして、その先に現れたのは、かつて私たちの家族が住んでいた古い家だった。家の中には、かつての家族の生きざまが刻まれた、古い写真が飾られていた。

「これ、なに」と驚くと、紅木床は突然動き出し、その動きに合わせて壁から写真が飛び出してきた。その中には、私の幼い頃の写真もあった。

「君たち、なぜここにいるんだ」と声が聞こえた。それは私の父親の声だった。しかし、その声は遠くから聞こえるようで、かすかにしか聞こえなかった。

紅木床はさらに動き出し、私を家の中に引きずり込んだ。部屋の中は暗く、壁にはかつて家族が楽しんだ瞬間が描かれた絵画が飾られていた。

「なぜ、こんなことが起こるんだ」と叫んだが、声は聞こえなかった。恐怖に震える私は、部屋の中で一人で彷徨い始めた。

その中で、私はかつての家族の生きざまを思い出し、心の中で泣いた。しかし、その泣き声も部屋の中で消え去ってしまい、私は一人で恐怖に苛まれたまま、紅木床の夢の中に囚われていた。

朝、目を覚ますと、部屋は再び静かで、紅木床は見た通りに美しいデザインをしていた。しかし、その夜の夢は忘れられない。紅木床がもたらす恐怖は、心の中で深く刻まれてしまい、その日々がどれだけ長く続くのか、私にはわからなかった。