十几年ぶりのお別れの夢に涙する息子の姿

夜更けの静かな部屋で、私は目を覚ました。目の前に広がるのは、薄暗い光が漂う部屋の風景だけだった。しかし、その中で、私の心に深く刻まれたのは、数年前の夢の断片だった。

その夢は、久しぶりに会う息子の姿が浮かんだ。彼は、十几年も離れていないにもかかわらず、私にとってはまるで幼い頃の息子のようだった。彼の顔には、いつも見せてくれた明るい笑顔がなく、代わりに緊張と不安が浮かんでいた。

夢の中で、息子は私に向かって泣いていた。その涙は、私の心に深い痛みを残した。私は、彼の手を取って、何かを訴えようとするが、言葉が出不来た。息子の目には、私にも分からない苦悩と悲しみが込められていた。

「お父さん、もう会えないんだね」と息子は低い声で言った。その言葉が聞こえると、私の心は一瞬、冷たい涙で溢れ出した。私はどうしてこの夢を見たのか、理解できないでいた。

夢の中で、息子は私に別れの挨拶をした。彼の言葉は、私の胸に重く響いた。「お父さん、これからも一人で頑張ってね。僕もまた、自分の道を歩んでいくんだから」と。

その後、息子は何度も私の手を離し、一人で道を歩いていった。私の目の前には、息子の背中が遠ざかっていく姿だけが残っていた。彼の背中には、私の息子としての力強さと、この別れがもたらす切ない感情が重なって見えた。

夢が終わると、私は涙を拭き去り、部屋の中で立ち尽くした。その夜、私は息子のことを思い出した。彼の幼い頃の笑顔、成長していく姿、そしていつも優しく支えてくれた彼の存在。

この夢は、私にとって大きな意味を持っていた。息子との別れは、時間が経つにつれて淡くなるものではない。彼との絆は、時間を超えたものなのだと感じた。そして、その夢が私に伝えたのは、息子の成長と独立がどんなに大切であるか、そして私たちの関係がどんなに強く深いものであるか、ということだった。

その夜、私は息子のことを心から祈った。彼が新しい道を歩む中で、幸せでいてほしい、そしていつか再び会える日を楽しみにしている。そして、その夢がまた訪れる日を待つことになる。