母の死を夢見続ける夜の恐怖

夜が深まるにつれて、私の心は重くなっていった。数夜連続で、母の死を夢見るようになったのだ。夢の中では、母が安らかな表情で私に向かって微笑んでいるが、目が覚めたときの恐怖は言葉では表せないほどのものだった。

初めての夜、夢の中で母が突然倒れたのだ。私は慌てて彼女を抱きしめて、何度も「母、大丈夫！」と叫んだ。しかし、母は私の手を離さずに、静かに息を引き取った。夢の中で私は絶望的な叫びを上げたが、目が覚めたときには、涙が混じった安堵の息が胸から湧き上がってきた。

その後も数日間、同じような夢が続いた。母が病気で苦しんでいる夢、母が事故に遭った夢、母が一人で家にいる夢など、さまざまな形で母の死を夢見るようになった。夢の中では、母が私に「大丈夫か」と心配そうに尋ねるのがいつものパターンだった。

母の死を夢見ることは、私にとって大きな恐怖となった。母はもう20年以上も前から他界しているし、私たちの家族は彼女の死を乗り越えてきたはずだった。なぜ、今この時、母の死を夢見るのか私は自分自身に問い続けた。

ある日、私は友人にこの夢のことを見せた。友人は「あなたの心の中に何かが隠れているのではないか」と言った。その言葉に、私は深く考えるようになった。母の死を夢見ることは、単なる恐怖の延長じゃないか、と感じたのだ。

自分自身と向き合う中で、私は思い出した。母の死の直前、彼女は私に「もし私が亡くなったら、どうなる」と尋ねたことがあった。当時、私は「もちろん大丈夫です。あなたがいれば、私たちは大丈夫です」と答えたのだ。しかし、その言葉が今、重く心に響いてきた。

私は自分の心の中で、母の死を避けようとしたことを反省した。母の死を受け入れること、彼女の愛を感謝することを遅らせていたのだ。夢の中で母が死んでいることは、私自身が母の死を避け続けている自分に気づかせる手段だったのかもしれない。

それから、私は夢を通じて母の死を受け入れようと決心した。母の愛を大切にし、彼女の遺言を守ることを誓った。夢の中で母が死んでいることは、私が成長し、成熟するための試練だったのだ。

夜が深まるにつれて、夢の中で母の死を見ることは減っていった。代わりに、母が微笑みながら私に話しかけてくる夢が増えた。それは、私が母の死を受け入れ、彼女の愛を大切にしている証拠だった。

母の死を夢見続ける夜の恐怖は、最終的に私を成長させる力となった。母の愛を再確認し、私自身を成長させるために、その恐怖を乗り越えることができたのだ。