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ニューロフィードバックとADHD:最新事情

ニューロフィードバックは、被験者が自分の脳波パターンをリアルタイムにフィードバックされ、そのパターンを注意集中のパターンに変えることを学ぶことでADHDの症状を軽減しようというものです。
まず、被験者がパソコン画面に集中している脳波を検出します。
ある脳波の状態を維持すると“りワード刺激”が起こります。
これで良い、この状態が良いことを脳に教えます。 例えば、「ディン」という音がします。 例えば、パックマンがドットを一つ食べます。
トレーニング中に学んだ状態を実生活で応用すると、注意力の改善、多動や衝動性の抑制につながります。
ADHDの治療法としてニューロフィードバックの有効性については長い間賛否両論があり、その状態は今も変わりません。
いくつかの研究が行われ、よい結果を出ましましたが、多くの有名なADHDの研究者によると、その研究方法に不備があるため、ニューロフィードバックの有効性は確定されてないそうです。
被験者が無作為でないこと、コントロールグループがないこと、盲研でないこと、被験者数が少ないことなどが、その主な理由です。
最近ADHDの治療法としてのニューロフィードバックの研究が発表されました。
これは今までの研究の不備を補うものです。
ギベンスルベンらによる「ニューロフィードバックはADHDの効果的な療法か?」
小児心理、精神医学ジャーナル
[Gevensleben, et al., (2009). Is neurofeedback an efficacious
treatment for ADHD? A randomized controlled clinical trial. Journal of
Child Psychology and Psychiatry.]

この研究はドイツで行われました。 
90%以上が投薬治療を受けていない8歳から12歳までの102人のADHD子供で、80%が男の子でした。
子供たちは無作為に2つのグループに分けられました。
(1).36回のニューロフィードバックセッションを受けるグループ
(2).36回のコンピュータを使った注意力トレーニングを受けるグループ(コントロールグループ)
両グループとも、短い休憩を入れ、50分のトレーニングを2回、それを週に2回から3回受けました。
トレーニング法
ニューロフィードバック・トレーニング
子供たちに脳波の状態をリアルタイムでフィードバックすることで、注意を集中し、それを維持することを学びます。
これは彼らのコンピュータスクリーン上に現れるものをコントロールする能力と、目標とする脳波状態をリンクすることでなされます。
技術的詳細はここでは割愛しますが、これはADHDの特定の脳波パターンを変えるトレーニングをすべきだという研究成果によるものです。
例えばあるトレーニングは高周波のベータ波の振幅を高め、シータ波の振幅を下げることを子供に教えるものです。 
これはADHDの子供はベータ波に対するシータ波の割合が高い傾向にあることの発見によります。 (see Neurofeedback/ Quantitative EEG for ADHD diagnosis).

コンピュータ注意力トレーニング
Skilliesと呼ばれる賞を受賞したドイツの学習ソフトです。
視覚、聴覚、注意集中、反応を向上させるもので、
ニューロフィードバックとの比較対照としました。
だんだん難しくなるゲームのような課題に高得点をマークするには注意力を維持しなければなりません。 そしてかれらは自分の得点をフィードバックされました。
このように子供たちは高得点をだすために注意力を持続させる練習をします。
しかしニューロフィードバックと違い、脳波の状態は知らされません。
上記にあるように、子供たちは無作為にグループ分けされました。
これは、異なる方法の比較には重要です。
また2つの方法ができるだけ類似するように工夫がなされました。
もちろん脳波状態のフィードバックを除いてですが・・・・
このように両グループとも注意力を必要とするコンピュータゲームのようなものをやってもらいました。
そして両グループとも同じように注目され、褒められました。
できるだけ多くの点を同じようにすることにより結果の違いが、実験者からの注意の違いだとか、トレーニング時間の長さの違いではなく、プログラムの決定的な違い、つまり脳波状態のフィードバックがあったかどうかによるものであることが分かるようにしました。
さらに両親も、学校の先生も、子供たちがどちらのグループに属しているか知らされていませんでした。
両親は、ただ自分の子供がコンピュータを使ったどちらかのADHDのトレーニングを受けると聞かされました。
また両親はトレーニングを見るためトレーニング室には入りませんでした。
子供の学校の先生もこの療法について聞かされませんでした。しかし数人の両親とおそらく学校の先生も自分の子供の受けているトレーニングがどちらか、うすうす気づいたようでした。 このような実験の場合完全にブラインドにするのは不可能です。

結果の集計
ここで用いられた主な結果評価方法は両親と先生によるADHD症状の評価です。
注意力散漫、多動、衝動性の症状以外に他の行動についても評価しました。
反抗性、行動問題、感情問題、社会性などです。
評価はトレーニングの前後に実施しました。
研究の結果からプラシボ効果を除くために、どれくらい子供が積極的に課題に取り組んでいたのか、そして両親はそのことに対しどのくらい満足していたかを尋ねられました。
結果
子供のやる気と両親の満足度に違いがなく、その要素が症状に対する評価に影響を与える可能性を考慮に入れる必要はありませんでした。

両親と先生の評価は下記のとおりです。
1.ニューロフィードバックを受けた子供の両親はコントロールグループの両親よりかなり大きな不注意、多動、衝動性の軽減を報告しました。
グループによる評価の差は中程度の範囲でした。(標準偏差0.5)
2.ニューロフィードバックを受けた子供の学校の先生は、コントロールグループの先生より、不注意と多動、衝動性に大きな軽減があったと報告しました。
グループ別の評価の違いは両親のものと類似しています。 (標準偏差0.5)

3.それ以外の症状にたいしては大きな差異は見られなかったものの、両親の評価ではニューロフィードバックを受けた子供の方が反抗性と攻撃性の軽減があったが、先生の評価では差異がありませんでした。
上記の結果報告は2つのグループの平均値の差を表しています。
詳細検討するとADHDの主な症状の緩和が少なくとも25%あった子供がニューロフィードバック・グループでは51%に対し、コントロールグループでは26%でした。
この差は統計的に大きなものです。
結果と示唆
これは無作為課題、評価者のブライド性、適切なコントロール・グループが整ったニューロフィードバックのADHDの治療法としての信頼性の高い研究報告です。
その結果、ニューロフィードバック療法は他の方法に比べ、両親と教師のADHDの症状の評価での大きな改善が見られました。そしてその差は臨床的に意味のあるほどの大きさでした。
特に他の項目に比べ、両親の評価によるニューロフィードバックによる反抗的行動の軽減が大きかったです。
概して、これらの結果はニューロフィードバックのADHDの治療法としての根拠を増やす結果になりました。
しかしこの研究の信頼性の高さにも拘らず、批判の対象になる要素もあることは事実です。 それらの要素は下記のとおりです。

1. 研究の統計方法が理想的でなく、ニューロフィードバックの効果の程度を過剰評価する可能性がある。 しかし私が思うにより高度な統計方法が使われても結果に大きな差がでるとは思えません。またそのような統計をぜひやってもらいたいものです。
2.ニューロフィードバックはADHDの子供にそうでない子供の脳波状態にシフトさせる方法を教えることで結果を出すと考えられていますが、この研究では脳波測定がされていません。だからニューロフィードバックが実際に脳波の変化を引き起こしたのかどうか知る方法がありません。

指摘のとおりなのですが、それは、単にニューロフィードバックがADHDの症状を軽減させるメカニズムに対する説明に関する問題で、これらの軽減が実際に起こったかどうかには関係ありません。
ニューロフィードバックの施術者はこの研究でそれぞれの被験者の脳波アセスメントをしなかったことがその効果を半減しているというかもしれません。 というのは個々の被験者に適するトレーニングの選択をしなかったからです。 もしトレーニング法を個人別に変えていたらもっと効果があったはずだというかもしれません。しかしそうであるかどうかはさらなる研究が必要です。

3.子供の学力のデータが取られなかった。
ほとんどのADHDの子供のトレーニング目標は学力の向上なのだから、そのデータの欠如は重大な欠陥です。
学校での成績の変化が考慮されなかったのは残念なことです。

4.長期の追跡調査がなされていない。
その結果ニューロフィードバックの効果の継続性が証明されていません。
これは欠陥ではありますが、薬の効果も行動療法も効果の持続が証明されていません。しかしニューロフィードバックの効果は継続すると考えられているので、長期の追跡調査は重要な追加点です。

5.しかしニューロフィードバックを受けた子供の約50%がADHDの症状の25%以上の軽減をしなかったことに留意することは大切です。全員の子供の受けた軽減は統計上大きなものでしたが、多くの子供は大きな改善を示しませんでした。
しかし薬物治療を含むどんな療法も、誰にでも効果があるわけではないので、この結果は驚くほどのことではありません。
しかし変化を示さなかった子供の割合は薬物療法のそれより小さいことを忘れないでください。
これらの不備な点と注意点を踏まえても、ニューロフィードバックをADHDの治療に加えるべきでしょう。 他の研究の肯定的な結果からも、このアプローチがADHDの子供に非常に有望な治療選択を与えることでしょう。

デイビット・ラビナーアテンションリサーチによるアップデート:
ドクターデービットラビナーは小児臨床心理学者でデューク大学の心理学と神経化学学部の主任教授です。
彼の研究は、学業に注意力問題の与える影響と注意力訓練など、ADHDに関連する多くのことがらに注目しています。
彼はまたアテンション・リサーチ・アップデートという優れたオンラインニュースレターを発行して、両親、専門家、教育者に最新のADHDに関する情報を提供しています。

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