死の都れみえ衣を拾う夢の恐怖幽玄の霊界体験
夜の深く、夢の中で私は異世界へと迷い込んだ。その場所は、見知らぬ森の中に隠された古い墓場だった。霧に包まれた石の墓標が、暗闇の中で微かに輝いていた。恐怖に震えながらも、私はその場所を進んだ。
突然、目の前に大きな石碑が現れた。その碑の前に、一人の老婆が立っていた。彼女の顔は暗く、目には深い悲しみが宿っていた。彼女の言葉は、まるで霧の中で響き渡るように聞こえた。
「あなたは、ここに何かを探しているの」
「はい、なにを探していますか」と私は尋ねた。
「あなたの心の中に眠る恐怖を、ここで拾い上げることだ」と老婆は答えた。
その瞬間、夢の中で私は目を覚ました。汗をかきながらも、その場面が心に深く刻まれていた。その夜、私は再び同じ夢を見た。
その次の夢は、まるで前の夢の続きのように始まった。墓場の中で、私は何かを拾い上げることにした。手を伸ばすと、地面から一本の古びた衣装が浮かび上がった。それは、まるで昔の和服のようなもので、色褪せた紅色が美しくも悲しく見えた。
私は衣装を手に取り、身に纏った。その瞬間、周りの風が異様に冷たく感じられ、霧がより濃くなった。目の前の墓碑は、かつてここに埋葬されていた人々の姿を連想させた。
「あなたは、この衣装をどうするのか」老婆の声が耳に聞こえた。
「どうすればいいのかわかりませんが、ここに埋葬されている人々のために何かしたいと思っています」と私は答えた。
「それが正しい道だ。この衣装を身に纏ったとき、あなたは彼らの霊を守る役割を果たせる」と老婆は微笑んだ。
その後、夢の中で私は墓場の中を歩き回り、一人ひとりの人々の墓に手を合わせた。その中で、ある墓に特に深い感情を抱いた。それは、まるでその人との絆があったかのような感覚だった。
夢が解けていく中で、私はその衣装を手に持っていることに気づいた。それは、まるで霧の中で見えるような輝きを持っていた。その瞬間、私はその衣装を脱ぎ、床に置いた。
「もう一度夢の中に戻ってきて、あなたの心の中の恐怖を解き明かすことだ」と老婆の声が聞こえた。
その言葉を胸に刻みながら、私は目を覚ました。夢の中の出来事が現実の世界に影響を与えるとは思わなかったが、心の中には深い印象が残っていた。
この夢は、私にとってはただの幻影に過ぎなかったのかもしれない。しかし、その中で感じた恐怖と希望、そして霊的な体験は、今でも私の心に強く残っている。死の都れみえ、衣を拾う夢は、私にとって永遠の謎であり、同時に大切な教訓でもあった。