竹馬の夢見た里に来た犬と共に

夜の深い静かな部屋で、私は夢に迷い込んだ。夢の中では、幼い頃からの竹馬、健一が登場した。彼はいつも通りに笑顔で、私に向かって歩いてくる。しかし、彼の手には何かが握られていた。それはまるで小さな犬の首輪のようなものだった。

「この犬、どこから拾ったの」と私が尋ねると、健一は優しく微笑みながら答えた。「公園の隅で見つけたんだ。どうする」と。

私は夢の中でその犬を見つめてみた。小さな体に大きな目が輝いていた。犬は私の腕を振り回し、怯えたようにも見えたが、同時に興奮を隠せない表情も見せていた。

「僕の家に来てくれ。一緒に面倒を見てやるよ」と健一が声をかけると、私は夢の中で心躍った。竹馬の家は私たちの幼い頃から変わらず、いつも温かい雰囲気が漂っていた。そこで、私たちは犬を連れて家に戻った。

家の中に入ると、健一の母が驚いたように私たちを見つめた。「なんだ、健一。どうして犬を連れて来たの」と訊いた。

「拾ったんだよ、ママ。一緒に面倒を見てやろうと思って」と健一は答えた。母は少し驚いた表情で、「じゃあ、一緒に犬の名前を考えてみようか」と提案した。

私たちはリビングルームのソファに座り、犬の名前を考え始めた。犬は静かに私たちの足元を歩き回り、時折耳を立てて、周囲の音を聞いていた。健一が「ピース」と名前を提案すると、私は「いい名前だね」と応えた。

「ピースを連れて、私たちの幼い頃を思い出してみよう」と健一は言い、ピースを首輪から外して、一緒にリビングルームの窓辺に座り、外の景色を見つめた。私たちの幼い頃の記憶が次々と蘇った。

「あの公園で、いつも一緒に遊んでたな」と健一が話すと、私は笑いながら「そうだね、あの顷は楽しかったな」と答えた。ピースは私たちの足元を這い回り、何かを言いたげに私たちの膝に飛び乗ってきた。

夢の中で過ごす時間は短いが、その一瞬がとても貴重に感じられた。竹馬と過ごす時間は、私にとっていつも特別なものだった。そして、新しい家族の一員となったピースも、私たちの心に温かさを与えた。

夢が醒めた瞬間、私は心から満足感に包まれた。竹馬と過ごす夢の中の時間は、私の心に永遠に刻まれる思い出となった。そして、その夢の中で感じた温かさと愛情は、私の日常にも少しでも届けば幸いだと願った。